ディアトロフ峠

ヨーロッパ

石田:私たちはソ連の歴史の中で最も謎めいた出来事の1つである「ディアトロフ峠事件」について話し合うためにこの電脳山荘に集まりました。数年前から、不可解な状況で亡くなった9人のハイカーに何が起こったのかを説明しようと考えられてきましたね。

私は雪崩が原因である可能性が最も高いと考えています。

青江:石田の見解はありがたいが、私は違う考えを持っているね。雪崩説は一見もっともらしいが、事件の具体的な内容と照らし合わせてみると、いくつかの矛盾があるかと。掘り下げてくれるかい?

石田:もちろんです。まず、私が雪崩説を支持する理由を明らかにしたい。ハイカーが発見されたのは急激で混沌とした状況。テントは壊され、遺体は何かから逃げてきたと思われる距離に散らばっていた。

sainte-foy-4736439_1280 ディアトロフ峠

青江:時系列で考えてみよう。ハイカーがキャンプを張ったのは午後5時頃で、雪崩説によれば、雪崩はその直後に発生したはずだ。しかし、彼らが最後に食べた食事は午後8時頃であり、キャンプを張ってから大体3時間後に起きたと考えられ変だねえ。

石田:それは興味深い指摘だが、最近の研究では、雪、風、斜面の条件が特定の組み合わせになることで、遅れて雪崩が発生する可能性があると言われている。これなら時間差も説明できるかもしれない。

青江:まあ確かにね。しかしもう一つ不可解なのはハイカーが負った傷だ。中には、内臓に大きな傷を負った人もいましたが、外見上大きな傷はありませんでした。外傷が一般的な雪崩と比較すると納得しがたいよ。

石田:確かに負傷はこの事件の重要なカギだね。しかし、スラブのような雪崩は、氷や雪の塊が下へ下へと落ちていくもので外見的な痕跡はなくても、理論的には大きな圧力によって内部に大きな損傷を与える可能性があるんだ。

青江:そういうものかい?では更に矛盾を感じるのは、場所だがこれについてはどうだい?ハイカーたちは斜面を選んでキャンプをしたが、一般的な雪崩が起きるような急斜面ではなかった。彼らは経験豊富な登山家だよ。その危険性は認識していたはずさ。

石田:雪の状態やハイカーがキャンプをするために雪を切り進んだ跡があったことを思い出してください。そのため、積雪が不安定になり、それほど急でない斜面でも雪崩が発生する可能性があるのでは。

青江:石田の主張は説得力がありますが、私は、雪崩説が完全に解決していない未解決の問題がまだあると思います。この事件のもう一つの側面、ハイカーたちの服装について考えてみましょう。

何人かのハイカーは、冬の厳しい環境下での服装が不十分であったことが判明しています。雪崩説では、テントから切り出して慌てて逃げたとされる。しかし、経験豊富なハイカーなら雪崩から逃げる前に防寒着を手にするのではないだろうか?

石田:興味深い指摘だね。だがどうだろう、もし雪崩がキャンプを襲ったなら、ハイカーたちは考える暇もないはずだ。気候を考えれば早めに寝ていたかもしれない。その時のパニックと緊急性から、道具を手に取ることよりもすぐに逃げることを優先するのが合理的な場面もないかい?

青江:確かにそうだ。しかし、足跡という不可解な証拠がもう一つある。捜索隊は、テントから離れる方向に足跡を発見した。しかし、その足跡は必死に走った形跡がなく、雪崩が発生したときの混乱した逃げ方とは矛盾している。

石田:その足跡については難問だ。しかし、足跡が発見されたのは事件から数週間後であり、厳しい天候が足跡を変化させた可能性を考慮しなければならない。また、ストレスの多い状況で、雪崩を起こさないように、より計算された行動をとろうとした可能性もある。

青江:無いとはいえないかもしれないけど、うーん。ハイカーたちの衣服から検出された放射線についてはどうだい?雪崩説との整合性をとるのは難しいですね。

石田:確かにそれはかなりおかしいね。ただそのレベルは低く、ハイカーが使用したランタンや、調査過程での汚染など、さまざまな原因が考えられると思うよ。残念ながら、この部分については、まだ結論が出ていない。

青江:今結論が出ていないならもう出ない気がするのだけど。

石田:それはまあ、そうかもね。長い目でDNA検査や炭素測定法のような、何か画期的な方法が出てくることを祈ろう。

青江:今回はそれが結論というところだろうか。

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