ケムトレイル

アメリカ


アマヤド:さて、HARAIさん、「ケムトレイル」という言葉は「ケミカルトレイル」の合成語で、航空機が空に残す目に見える軌跡を表すのに使われています。科学的には “condensation trails “の略で “contrails “と呼ばれていますが、実際には有害物質が含まれていると考える人もいます。

原井:聞いたことがあります。政府などの権力者が密かに化学物質を散布しているという考え方ですね。

アマヤド:はい。化学兵器や生物兵器、あるいは天候や人口をコントロールするような他の目的のために行われていると考える人もいるようです。しかし、これらの説には、信頼できる科学的根拠がないことをはっきりさせておきたいと思います。

sunset-4751072_1280 ケムトレイル

原井:では何なのでしょうか?

アマヤド:飛行機から排出される高温多湿の排気ガスが、大気圏上層の冷たい空気と出会うことでできる人工的な雲です。この急激な冷却によって、水蒸気が凝縮して水滴や氷の結晶となり、空に目に見える軌跡を残すのです。

原井:では、なぜある飛行機雲は他の飛行機雲よりも長く、持続的に発生するのでしょうか?

アマヤド:それは、大気の状態によるものです。空気が湿っていれば、飛行機雲は長く広がり、逆に乾燥していれば、飛行機雲ができたと同時に消えてしまうこともあるのです。

原井:なるほど。このケムトレイル陰謀説はどのようにして始まったのでしょう?

アマヤド:起源は少し不明ですが、1990年代後半にアメリカで広まったと思われます。アメリカ政府が高空飛行する航空機を使って、さまざまな悪意のある目的のために化学物質を散布している、と一部の陰謀論者たちが提唱したのです。この説はインターネット上で急速に広まり、科学者たちが何度も否定しようと試みたにもかかわらず、今もなお話題になっています。

原井:では、大気圏内化学物質散布の実例はないのですか?

アマヤド:そうですね、雨を降らせるために雲を播くという例はありますね。また、ベトナム戦争では、米軍がエージェント・オレンジと呼ばれる枯れ葉剤を使用しました。しかし、これらは陰謀論者が意味する意味でのケムトレイルではありませんよね。

原井:確かに。でも議会で話題になったこともありますよね?


アマヤド:ケムトレイルをめぐる理論は、2001年に展開を見せましたね。ケムトレイルが健康被害をもたらすという論文がアメリカの議会に提出され、この現象をめぐる論争が劇的にエスカレートしていったのです。

原井:つまり、議会で正式に認められたということですか?

アマヤド:そうではありませんが、この現象が注目されるようになりましたね。環境保護庁、NASA、連邦航空局、米国海洋大気庁は、こうした噂を払拭するためのファクトシートを作成するよう要請されました。そして、コントレイルが公衆衛生に直接害を及ぼすことはないと断言したのです。

原井:なるほど、政府が一丸となってこの問題に取り組んだわけですね。しかし、もしケムトレイルが実在しないのであれば、なぜ人々はケムトレイルを強く信じているのでしょうか?

アマヤド:ケムトレイルの場合、科学的な誤解と当局への不信が重なって、信念を煽ることになったのでしょう。

原井:アマヤド教授、他の国にもケムトレイル陰謀論はあるのでしょうか?

アマヤド:ケムトレイル陰謀論はアメリカ発祥かもしれませんが、インターネットの普及により、世界的に信奉者が増えていますよ。これは、特定の文化や国に限定されるものではありません。

原井:飛行機雲はどこでもありますからね。

アマヤド:そういうことです。ただなんでも否定するのはよくないですし、私は湿度や風や人口密度に注目してケムトレイルの報告数を比べるような研究があれば面白いかもしれないと思っていますよ。

原井:確かに。ケムトレイルが見れるような気候のところは湿度が高いから特定の疾患が多いといったような、別の発見もあるかもしれませんね。

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