アトランティス

ヨーロッパ

石田:アトランティス大陸は、古代ギリシャの哲学者プラトンの「ティマイオス」と「クリティアス」という2つの著作に由来しています。

青江:そう、これらの著作の中で、アトランティスはプラトンの時代より約9000年前に存在した強力で高度な王国として描かれているね。それによると、アトランティスは “一昼夜で不幸に見舞われて “海に沈んでしまったという。

石田:ここで問題なのはそのような文明の存在を裏付ける古文書や考古学的な証拠が他にないことだね。

歴史家や考古学者の間では、プラトンのアトランティスは架空の場所であり、寓話的な物語として使われた可能性があると一般的に受け止められている。例えば、プラトンの「国家」に描かれた理想国家像に対して、アトランティスは箔付けの役割を果たしたと考える学者もいるね。

青江:そうですね。寓話の大陸にアトランティスとわざわざ名前が付けられている点は気になるけれど。寓話と考えた場合は、それはそれでアトランティスは海軍や帝国権力に対する批判とそのまま見なすことができる。これはプラトンの時代のアテネを反映したもので、アテネは拡張的な海軍力を持ち、ペロポネソス戦争で悲惨な結末を迎えたといえるね。

石田:集中的な権力が海軍力がなかったら平和だったのかはわからないけれど、確かにそうした意図で生み出されたフィクションの可能性はあるかもしれないね。

青江:しかしそれでも憶測と探求は止まらない。地中海からカリブ海、さらには南極大陸まで、さまざまな場所が候補に挙がっている。

石田:それについては19世紀末から20世紀初頭にかけて、アトランティスの都市は紀元前1600年頃に火山の大噴火で荒廃したサントリーニ島にあるという説が有力だ。この噴火と津波によってミノス王でも有名なミノア文明が滅亡したことから、アトランティスの物語との類似性が指摘されたということだね。

青江:しかし、サントリーニ島の惨状はプラトンの物語と一致する部分もあるが、時系列が一致しないんだよ。ミノア文明は、プラトンの著作によれば、アトランティスが滅んだとされる数千年後に存在していた。

submarine-4670773_1280 アトランティス

石田:アトランティスの存在には、科学的な反論も多くあるね。一つは、水中考古学では、プラトンが記述したような高度な文明と結びつくような決定的なものは未だに見つかっていないこと。また、地質学的に見ても、大陸規模の国土がアトランティスと言われるような形で沈むという証拠もない。

青江:その通り。また、失われた文明や天変地異の話は文化圏を問わずよくあることだね。道徳的な話や、不思議な現象の説明として使われることが多いと感じるよ。

石田:日本では太平洋で火山島の面積がぼこぼこと増えているからわからない。

青江:まれにフィクションと思っていた遺跡が発掘されることもあるしね。ただ客観的に見ると現状では文献的にも物的証拠に乏しいといったところだね。

石田:これについては今後の発掘に期待といったところか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました